天上の国 鳥の文字/「ま」の字
 
とりがいる

「Pain
「ぴア

弧を描き
弧をねがう
ひわひよひわ 啼き声を発しながら
希薄な大気には失語の気配

〈だがひとは、 太古 このとりの足跡を見て 文字を学んだのだ

あの日 飛行機にのって
私は初めてあの雲を見た
あの国を見下ろした
さびしい さびしい
雲の王国
えいえんのごとくに動かず
すでに滅亡し
ただ起伏だけがくりかえす
あの国土に
王と封じられたとて 何あろうか
われは王とて 考えるか
来る五十六億七千万年を
かんがえるか
あるいは追放された同然の身を知って
ひとり裸足に国土を行脚し続けようか
かぜに
ホろぼろと風化
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