涙からはじまり永遠のような一瞬で終わる/カンチェルスキス
ういうものは処置に困るものです
電柱の上のポリバケツみたいなあの部分は
恋人からの手紙保管所だったようです
わたしが目撃しただけですから
全部が全部そうってわけじゃないと思いますが
電柱から下りると
グレイの背広の男は何事もなかったかのように
地面に置いたケーキ屋の紙袋をつかんで
通りを歩いていきました
わかったことがあっても
伝える相手がいなかったので
わたしは白い紙の束をホッチキスでパチンと止めて
めくれるようにしておきました
一週間後
またわたしはどうかんがえても地面がめくれて覆いかぶさってきそうに思われたので
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