ミューズは夜恐ろしく冷ややかな忠告を授ける/きりえしふみ
 
っそう
啓かれていく 豊かに耕されていく
世の中の冷ややかな視線という冷水により
ぴかぴかに 研磨されてしまう

哀しみという狂気じみた祝宴が
昨日はバースデー 今日はクリスマス!
といった具合に みすぼらしい私を狙い打ちにしたとしても
「あら、大変」
気まぐれなミューズはいつもの口調で
テキパキと 支離滅裂な私の思考から理性を呼び起こすなり
私に自らへの慰みの歌を紡がせるので
(時には随一のラブレターを私自身の手で編ませるので)
私はとうとう 絶望という味を知らずに済んでしまう
自ら設えた絞首台を前に突然
ワルツを踊り出し 自らに免罪を言い渡してしまう自殺志願者のよ
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