ミューズは夜恐ろしく冷ややかな忠告を授ける/きりえしふみ
 
のように
悩める この私の行動は
ミューズが影で糸を引いて下さっている所以なのだ

 昨日の私を追い詰めていた筈の 悲劇が
 今日の私の 新たな詩の材料として
 ふつふつ釜戸で煮詰まっているのだから
 まことに詩人とは あっぱれな役目!

再び喜劇の幕を降ろそうとする太陽の向こうで 長い夜が爪を研ぐ時
ミューズは冷ややかに囁くのである

 「余り私以外の者に 事柄に 溺れるな」と
 「あなたの生を握るのは私の与える霊感だけなのだから」と

恐ろしく冷ややかな忠告を
時折私に授けるのである

(c)shifumi_kirye 2006/11/18
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