怨念マリモ/「Y」
 
となのか、いまでも時々迷う事がある。霊では無いし、気配という言葉では弱いような気がする。
 怨念マリモを育てるようになって、家族を喪った人々に目を向けるようになってから、家の中に死者の気配が残っていて、それを気にかけている遺族が少なくないことに気がついた。
 博士はそのような家庭があるのを聞くと、マリモを携えて訪ねていった。
 一晩家の中に置いておくと、マリモは必ず怨念を宿らせ、ぼうっと光りだす。
 「光が消えるまで、毎日話しかけてあげてください。光が消えたら、マリモを引き取りにお伺いいたします」
 博士は遺族にそう言い残して、その家から立ち去るのだった。
 
 怨念マリモを本格的に
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