怨念マリモ/「Y」
 
めているのが、体に良いようなのですよ。実際、アルファ波についてのデータということでいえば、数字は良好です」
「……先生は、どうしてこんなことに興味を持たれたのですか」
「さあ、どうでしょうかね」
 博士は、わずかに首をかしげる。
「私も、これが専門と言うわけではないし、好奇心の理由を説明するのは、容易なことではありませんからね」

 人の身体が喪われても、気配は残ることがあるということに博士が気付いたのは、父親が自殺した直後のことだった。興味があって養殖していたマリモの色が変わったのと同時に、死後も家に残り続けていた亡父の気配が消えた。

「怨念」という言葉を使うことが正しいことな
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