怨念マリモ/「Y」
 
ても、ほんとうに綺麗。光が当たっているわけでもないのに、どうしてこれほど光っているのか、とても不思議な気がします」
 マリモの大きさは両方とも五センチ程度だった。短い糸状の藻が絡み合って、一つの塊を作っていた。Aと書かれたパネルの貼られた水槽のマリモは、糸状の藻が、ガラスのような冷たい光を発していた。
「そう。怨念が強いうちは、かなり光ります」
「人体に影響は無いのでしょうか」
「はっきりとしたことは、分かりません。この研究室に、怨念マリモは十九個あります。かなりの数です」
「先生。失礼ですが、お身体の具合はいかがですか」
「むしろ、調子は良いのです。どうも、毎日怨念の発する光を眺めて
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