怨念マリモ/「Y」
 
インドが下ろされ、その手前に設えられた台に、円筒形の水槽が二つ置かれていた。それぞれの水槽の中には、緑色をした球形の物体が入っている。二つの水槽を囲むように、博士と女生徒は立っている。女生徒はタータンチェックのミニスカートとブレザーを身に付け、髪をポニー・ テイルにまとめていた。

「だけど、先生」
 女生徒は再び口を開いた。
「どうしてマリモなのでしょうか」
 そこが、問題なのです、と博士が答えた。
「どうしてマリモなのかという問いには、誰も答えることは出来ないのです。それが現時点での、専門家の見解なのです」
 そうなのですか、と女生徒がつぶやき、小さなため息をついた。
「だけど
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