僕の知る世界/アゲとチクワ
音のない世界で
パンダにも似た着ぐるみ
毎日同じ顔をして笑ってる
ひとの気も知らないで
同じ顔して笑ってる
モノクロに囲まれて
白と黒しかない孤独の中に
ぽつんと光る紅のリンゴ
僕がどんなに叫んでも
それは誰にも伝わらなくて
僕がどんなに泣きじゃくっても
冷たい目で見られることもなく
人は右から左へと何かに急かされるように
足の動きをやめない
モノクロに迫られて
抜け出すことも出来ない孤独の中に
置き忘れられたかの様な紅のリンゴ
どんなに走って追いかけても
世界は何も変わらなくて
どんなに座り込んでも
誰も僕の存在にさえ気づいてくれない
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