荒川洋治を読んでみる(一)『水駅』/角田寿星
 

また過去から未来へと流れる時間の概念のような文も散見されます。

だいたい、『水駅』ということば自体、ぼくら日本人には馴染みが薄い。駅制というのは、奈良時代に律令制が確立されて東海道やら西海道やらが制定された時の交通施設なわけですが、その際どういうわけか、有史以前から盛んに使われていた海路はほとんど無視されて、当時まだ発達していなかった陸路が使用されたんです(おそらく中国の猿真似でしょう)。おかげで日本における水駅の遺跡は最上川流域に少数認められるのみで、ほとんど一般的でないんですね。まあ、案の定、律令国家が制定した陸路は早々に崩壊して、海路と水路と陸路の折衷となり、駅はやがて津や市に取って
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