さかまく冬 電線の風切り音 空気と光 関係ないよ/水町綜助
茶色い瞳
見上げて染まっている
春のすこし前の空に
遠く冷たい青色に
それは昔好きな人の住む町で見た車のボンネットの色
強い強い風がかきみだす
雨上がりの翌朝
その真っ白い積乱雲を
速く遠くへさらっていく
不安をかき立てるスピードで
東の方へ
東の方へ
四年前の記憶赤い車
ほかに誰もいなかった浜辺
白い舞台があった
朽ちかけてたけど
あの浜の砂は世界で一番ちいさな砂らしいよ
と誰かが言ってた
しらないよ
きみはなおさらだ
雨の中のヘッドライトが
濡れて光る駐車場について
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)