島で死ぬ/水町綜助
 

われた誰かが
行けるところに行けない
行けないところに行ける
「上るも下るも同じこと」
なんてのたまったのは誰でしたっけ?
まあいいや
むかしビオラとフィドルと化して夜空に登り天体になった人たち
弦はうちふるえ
空洞は形にならないもので満たされた
君はそれを音と呼ぶか
それでもいい
とにかくそれはつかのま、ちらほらと民家のあかりがともる、田舎の町、そう、その町の上の夜空にも同じくらいの数の星が見えてた
天も地もともに控えめな星空だった
そんな町のうえにそれはうかんだ
それはなにも価値はなかったけど、きれいな光景だった
それでいいわけで
だいたいぼくなんかはその町を流れる天竜川という川の土手沿いに車
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