最終行まで/岡部淳太郎
 


あお
その色の中で雨が降る
この雨をとめることは
誰にもゆるされてはいない


?

陽はいつも
透明なままで人を照らし出すだけだから
僕たちには
何も見ることは出来ない

だから雨が必要なのだろう

すべてひとしく濡らしてしまう
雨が
その、
し、たたり、  を、
          享けとめるために

ここに立つ

だからいなくなってはいけない
逃げ出してはいけない
雨の散弾に撃たれつづける快楽を
手放すもったいなさと
ともに
ひとり乾くことは
いけない

僕たちには雨が必要なのだから

腐乱しながらも
生きぬいて

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