最終行まで/岡部淳太郎
う叫びから生まれ落ちて
あお 色の雨に濡れる
あえて濡れてしまうことが
正義なのだと 思いつめて
自らはしだいに褪色してゆく
あ
を発音する
ただ発音するだけの
肉体となる
あおの憂鬱
あおの宿命
(を)
走査する
それでも 君は世界をゆるさないだろう
それでも 君は自分をゆるさないだろう
透明をのみこんで みても
それは身体の中で あお
に変ってしまうから
その色のままで
惑っていればよかったのだ
その色の中で
迷っていればよかったのだ
僕たちは世界をゆるさないが
自らをゆるしてきた
その術を 覚えてきたのだ
(だが)
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