天体に関する話/朽木 裕
 
ロンアルファの存在を
本気で考え始めている。



Act:02 「盂蘭盆会」


空間の割れ目に蓮が花を咲かせている。

「おやおや、地獄に随分とありがたい花が咲いたものだな」

盂蘭盆会は、罪人の吊るし上げに忙しく、
花を気にする者など居ない。

だが彼は蜘蛛の糸を信じていたから絶えず
何かに気を配っていたのだ。

閻魔の下で働くのはもう厭だった。

蓮に手を伸ばすと花弁の中から星の欠片が
零れ落ちて転がる。

あっ!と云う間に星の欠片は血の池に
飲み込まれて消えてしまった。

八月十三日、未明の出来事である。


Act:03「三半規
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