詩人の追悼/I.Yamaguchi
 
は君の死を泣いてしまうのだ
ここから見える星はカンパネルラに会える南十字星ではなく
柄杓ですくわれることのない北極星なのだ
記憶からでは思うように
君をすくい取ることができないから
東京の僕は君の死をいたむのだ。

君の見るだろう南十字星が
オペラハウスの脇で僕が見る南十字星ではなく
一つ一つの星の細かい連なりだから
シドニーの僕は君の死をいたむのだ

肉やカスの塊に包まれて奇麗な空に行くあなたを
肉やカスだけでなく愛や政治でドロドロに味付けされ
とても食えたものじゃない、ぬるま湯のような世界の中で
言葉で自分を形作ることから逃げ出した奴として
僕は君の死を罵り、そ
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