詩人の追悼/I.Yamaguchi
 
、そして哀れむのだ

だけど本当は
寂しくなることを恨んでいるのだ 僕自身が取り残されたことを
同じ星にたまたま生まれついている限り
会うたびに憧れの目で見た君と
繋がれるかもしれなかった僕は
もう絶対に一つになることはできないのだ
もしも僕が死んだあと星になることが出来て
毎晩隣同士に光っているように見えたとしても
実は光の速さで動いて何年分も離れた場所にいる君は
体よく僕を避けおおせるのだ

だから君が煙に乗り込むその前に
君の全てを失った僕は
一時君をこの世によこせと
大声で天に叫び地を踏み荒らすのだ
僕の体を依代に
君がありえないほど僕の心の近くに来ることを祈るのだ
煙となって一つの体から飛んでゆく君の心の
僅かな部分を体に閉じ込めて
木の根のような神経で吸い取りながら
君が見えない日々を静かに生きようと
僕は泣きながら踊るのだ
迷惑をかけ続けた在りし日と同じように
好きなように君を消費しながら
おどろおどろしく僕は一人生きるのだ
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