少しの距離/yozo
 



いつまでも抵抗を続けるボクの手に
キミの指がきつく絡まる
こんなにも手のカタチは違ってきている
同じ人間なのに面白いなと思う
長いこと一緒に大きくなってきたのに
今さらながら面白いなと見愡れる
その時

突然遠くから誰かが呼んだ
正確にはボク達の中の誰の名が呼ばれたか
判断しかねた
ボクは逃げの為にもキミの名を告げ
キミの注意をボクから逸らし
ノートの死守に成功をする

勝負ついたり
振り返って口の端で笑えば
キミは背中から離れた後で
重さと温もりもすでに無かった
勝ったと思ったのはコンマ2秒だ
ドアをするりと抜けるキミの
白いシャツが光で透け
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