少しの距離/yozo
 
に言えば声よりも先に体温が
それよりも先に柔らかな気配が
ボクの意識にすり寄ってくる

防御を決め込むボクの頭を
キミは容赦なく殴打する
ボク達のコミュニケーションの展開は
大体がこーして組み立てられているから
ボクも叩かれるのは了承済みだ
昔みたいに口の中を噛むコトもない

なかなか顔をあげないボクに呆れ
漏れたインクで青く染まったボクの指を
隠された不格好な文字を暴こうと
キミはピッタリと体を重ねる

ボクは知ってる
ボクが嫌がる方がキミは喜ぶ
キミに怒られるボクをキミは随分と気に入っている
変わらない日常というヤツだ
全てがゆるやかに流れていくのだ

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