ポエティック・メランコリー・シンドローム/岡部淳太郎
 
べてにひとつずつ従うほど
物わかりがよくはない

平行する列の流れの中で
人びとは今日も
何事かをわかったような顔をして歩いているが
(本当は) 何もわかってはいないのだ

わからないまま
生かされているだけなのだ
愛だとか 法だとか
それらのさまざまなしがらみの何もかもを
誰も (本当に) わかってはいないのだ



ポエティック・メランコリー・シンドローム
  治療することの出来ない慢性的な症状に
    私は苦しんでいる
    (そう すべてあなたのせいで)



蝶が飛び 花が咲く季節になりましたねと
時を背後に置いてきた老人がつぶやく

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