テクノプラズム/仲本いすら
界はそういう風にできてるんだ、ジョセフ。
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懸命に「ごめんなさい」と謝る姿を見て
俺のことはいいから、と田中は言ったが
あとでアイツが大粒の涙を流して
ポリバケツを蹴ったことは
俺しかしらない。
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これで、三回目。
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カーテンを開けるとそこはまるで異世界のようだった。
なんの変哲もない、ただの病室なのだが
看護婦が普通な様子で普通な患者を介抱し
医者が普通なイスに座り、普通に診察をし
患者は普通に診察台を払っていた。
そこままるで、ウソみたいな世界のようだった。
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羅針盤という漢字が読
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