テクノプラズム/仲本いすら
が読めなくても
人生に羅針盤は必要ないから
問題ないと、君は言う。
*
これで、3回目。
*
わん。わん。わん。
*
彼は華厳の滝を愛していた。
どれくらい愛してたかどうかは、今となってはわかりかねることだが
彼は確かに、華厳の滝を愛していた。
いまは、抱きしめられている。
*
雨のにおいがする。
気がつくとそこには死んだ魚が呼吸をして
メールの件名には「ごめんなさい」が書いてある。
中身までは、見ていない。
きっとそこには、ボクの三回目の別れの言葉が
キレイな衣をまとって僕に食べられるのを
待っているはずだが。
何も言わずに、僕はカーテンを開けた。
あまりにも、寒さを感じる。
もう、だめなのかもしれない。
*
ボクが白い息を吐くのは
これで、三回目だ。
戻る 編 削 Point(4)