女子高生/三州生桑
ール』を読み飛ばしてゆく。
もの凄い勢ひで頁を繰る私を、彼女は目を丸くして見つめてゐる。
「よし、行かうか」
一読、あざといな、といふ印象を持った。
なるほど、賞を取る小説、売れる小説とは、かういふものか。
女子高生が、かういふ小説を書けば注目されるだらうな。
雨は、依然として激しく降り続いてゐる。
彼女を本屋のドアの前で待たせ、そこへ車を回してやった。
「ありがたうございますう」
後部座席に乗り込んだ彼女の夏服は、少しも濡れてゐない。
彼女の言ふままに車を走らせた。私は何も話しかけなかった。
「あのお、結婚してるんですかあ?」
思はず噴き出してしまった。彼女は、面白さ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)