ヴィクトール(一つの)/静山和生
 
けた枝がたわむ
            真昼に暮れる午後の宣告
            夜 の高質な夜
            厳粛なささやきを
            齧歯類のごときが
            ひっそりと食む

            砕かれ る胡桃の音数と
            正確な咀嚼が一致するアヴェロンへ向かう

             「おお、それは違う!」

            窓ガラスの水をそそぎ
            ふるえる軟骨の欲動を
            そそぎきる
            コーヌの森へと続く路のりは
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