出来損ないの七十行/岡部淳太郎
ひとつは
見事にぶざまなままなのだ
愚かな一行をまたつぎの
愚かな一行につなげて
俺はまたしても自らに嘘をつく
飛んでいけ 空中都市
俺の言うことを信用するな
風の間に漂うのはさぞかし気楽だろうが
風だってただ吹いているだけの身分ではないだろう
誰かが君のことを噂し
ついでに俺のことも噂にするかもしれないが
そんな未来は風車の回転で削り取られる
日々の思い出にくれてやる
世界は醜いと立ちすくむ前に
やらなければならないことがあるのだ
俺は一秒ごとにそこに向かおうとしているのだ
君は朝の花であり
昼の花であり
そして ああ!
夜の花でもあるだろう
俺はそのすべ
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