春なんだったらラッタター/人間
 
け抜けてって病むのは引き裂かれる穴だった。
間々覗き見るに好色魔、道路に並び笑む色彩の罠。
「あ、上、意のまま」
口火の呪文ねこれ、ラッタター。
ぼんぼり赤に光る傷口も裏返って集団下校する、夕日で目盲花も目え覚ます、
仮設理想郷に飛び散ってった群れる季節は冷たくて固い肩の少し呟いたのはアンタ。
アンタってのは、これ読んでるアンタ、ね、アンタ。
震える景色に乗せてあったコップの中で、冷めた酒の酔いはまだ明けぬ朝ラッタター。
薄暗い穴の中に身体縮めて入れば分かる、死角の口膣に潜んでる婉曲率が分かる私。
穴からアンタ、歪んだカタツムリの殻が幾重にも散乱して目になったから、粘る滴の雨に目
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