光根/葉leaf
 
と鼻の区別がつかなくなってしまう。僕は物体になった君しか愛せない。

君の神経の発するなめらかな気焔が、重ねられた僕の背骨の間をながれ落ち、水の空間に接してうつろな思想を降らせる。僕の鼻腔にはひとつの真っ赤な体系が生まれ、君の指先の真っ赤な体系と入り雑じってゆく。僕の皮膚を突き破ることばの群れ。

まずは君から沸騰していった。君のしぐさをあとづけてゆく時間の粉末は、さかんに硬い闇を反転させていった。君には僕の傷が美しい文字に見えたに違いない。僕の傷を模写しながら、君は植物とともに沸騰し続けた。

僕が果物に触れると、僕は果物の分まで重くなった。僕はとうとう海に触れてしまい、海の重さで動
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