静かな耳/静山和生
 
    の諧調を

            後ろ手に渡される
            見知らぬ貨幣は
            手から目へ
            目から舌へと朽ちてゆく

            顔をそむけた先に
            つらなる山脈が
            遠く
            静かに
            くずれ合い
            記述の目ざめは
            陽をうけて輝く
            後れ毛の礎 となる

            終わらない訪問者は
            ほどけつ
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