静かな耳/静山和生
 
けつづけ
            舌の上で朽ちた書字の
            諧調を
            どんな耳が
            呼び覚ますのか

            架けられた声
            至高の羽根を
            めくる指先の
            偽史に埋もれた
            いつわりの雨
            押した手形が
            暑く病める
            岩壁の暖かい襞

              それらは鳴らない
              それらは鳴らない

              それは


            
            暮れてゆく礎は

            陽をうけて

            後れ毛の
            輝きを

            取り戻す

            ばかり
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