全寮制耳毛へヴン/カンチェルスキス
 
グ的にドロンしたい。
 とここまで内攻していくと、ふいに通り行く人びとの声が聞こえてくる。聞こえてくるのは、ハイキング帰りの初老の夫婦の会話だ。
「あの人、マシンガントークしたみたいね」
「そうだな」
「でも、マシンガントークだったらしょうがないか」
「しょうがないだろ、なんせマシンガントークだからな」
 その後、彼らは採ってきたばかりの山菜を自宅で楽しむ。
 言いたいことはそんなにもなかったんだ。言いたいことなどそんなにあるわけじゃない。
「とろろ芋食って、比較的ナイス」
 あるいは、
「植毛軍人」でもよかった。とにかく何かをしゃべりたかった。魂を取り出して相手に見せたり触っ
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