親/さくらほ
ゆえ
父を憎んだのか
孤独ゆえ
母を恨んだのか
お決まりの反抗期は
激しく
自分でさえも自分をもてあまし
大事なものも
いけないものも
醜いものも
全てが同じになっていた
もう頼るものかと
父も母もいらぬ
何もいらぬ
何もいらぬと
泣きながら
わたしは
大人
になった
家から逃げるように
一人の男に
のめりこんでいった
学業を忘れ
友達を忘れ
家族を忘れ
「平凡な幸せ」
そんな言葉がとてもよく似合う
穏やかな日が訪れた
わたしは母になった
四
ふと気づくと
父はやはり父であり
母はやはり
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)