親/さくらほ
わたしは
「お姉さん」
であり
「おんな」
であった
わたしには
しなくてはならぬ事が多く
してはならぬ事も多く
出来ぬことがいっぱいだった
それでも
その通りしなくてはならぬことが苦痛で
そう思う自分も苦痛だった
父は独立して
母はそれを手伝い
事業は面白いように波に乗った
家は忙しく動き
時間は親のペースで流れていった
わたしはいつしか
「間に合わぬもの」
であり
「かわいくないもの」
になった
許される弟と
許されぬわたし
父はやがて
わたしを怒るだけの人になった
三
息苦しさゆえ
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