第一次発掘報告の未発表草稿/たりぽん(大理 奔)
ネパールとインドの国境付近は深い密林に閉ざされている。失われれば二度と手に入らない暗闇をはらんだ命の混沌。それがジョグ・アレースの森だ。かつてサファルの月、南下したモンゴル軍が侵攻したときにも、この森はあまりの深さに焼き払うこともできず迂回せざるを得なかったという。 現在も毛派ゲリラの訓練村があるとされ治安情勢の不安定な地域だ。
その森の奥。地球資源衛星の写真解析からひとつの遺跡が発見された。四方を4キロの堀のようなもので囲まれた年代不明の都市の遺構だ。数年前から日本の大学研究機関を中心とする世界遺産財団・国際発掘チームが非公開で現地に入り、その一部を発掘調査をおこなった。トレンチは10カ所
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