誇り/広川 孝治
 
の心をつつむ最も必要な装甲であった。」


収容所に入れられた人の心の変化を分析している。第二期には、心を守るため、起こる出来事に無感動になってゆく。心が無感覚になってゆくようだ。あまりに非道く不合理なことが多すぎるからである。

そんな中で、筆者は次のような体験をする。

{引用=
「ある他のとき、われわれは摂氏マイナス10度の寒さの中を、森の中で全く固く凍りついた表土を掘り起こし始めた。すなわち配水管が設置されねばならなかったのである。この時私はすでに身体がすっかり弱っていた。労働監督がやってきた。よくふくらんだ紅い頬をした彼の顔は文句なしに豚の頭を想起させた。・・すると彼は
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