誇り/広川 孝治
彼はののしり始めた。「おめえ、豚犬め、俺はもうずっとお前を観察していたんだ。おめえにもっと仕事をやるからな。そして地面を歯で噛み砕かせてやるからな。おめえは今まで働かなかったということがすぐ判るんだ。おめえは一体何だったんだ。おい豚、商人か?え?」 私にとってはすでに何でも同じであった。しかし私をすぐくたばらしてやるという彼の脅しを私は真面目にとらねばならなかった。私は真っ直ぐに立ってしっかりと彼の目を見つめた。「私は医者だ。専門医です。」「なに、おめえは医者だったのか。ははあ、お前は人々から金を騙り取ったろう。ちゃんと知っているぞ。」「労働監督!私はそれどころか私の仕事を無料でしていたのだ。つま
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