「モハヤ・・・」/広川 孝治
「ドイツに行こうかな・・」
あなたの夢はドイツに行って
ライン川のほとりに住んで
ジャガイモを食べながら
向こうの魂に触れること
マンやヘッセやベートーベンを
産み育てたその国の
空気を肌で感じること
ずっとそれを願っていたこと
僕は知っていたけれど
まさか会社を辞めてまで
決断下すとは
そこまで激しく願っているとは
まったく気づいていなかった
あなたはいつものように僕の頭に
右手を伸ばして髪をくしゃくしゃにする
「夢は叶えるためにあるのよ
言い訳するためのものじゃない」
僕の瞳を覗き込んで
強い口調で言っていた
あの言葉は
誰のた
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