「モハヤ・・・」/広川 孝治
 


恋の虜になった僕は
床についても
食事してても
仕事してても
何をしてても
浮かんでくるのはあなたの面影

「頑張りなさい」
励ましてくれた
「テープちょうだい」
聴きたいと言ってくれた
こんな僕が作った曲を
こんな僕のつたない歌を

僕より三つ年上の
ドイツ文学を愛するあなた
トーマス・マンとヘルマン・ヘッセ
読み始めたのはあなたの影響
あなたにふさわしい人に
成長したいと焦ってた

モハヤ、オイツクコトハナイ

ある日あなたは休憩時間に
僕の隣にやって来て
タバコに火をつけると
ため息のように煙を吐き出して
上を向いて呟いた


[次のページ]
戻る   Point(2)