「モハヤ・・・」/広川 孝治
冬が終わる頃いつも
喪ったあなたを想い出す
人知れず涙を流す僕
あなたのかけた魔法の中から
いまだに抜け出せずにいます
同じ職場で働いていたあなた
僕はあなたの部署に配属されて
輝いていたあなたを間近に見るようになった
あなたは僕をかわいがってくれたね
仕事の後で
食事にお茶にそして飲みに
よく誘ってくれました
そんなある日に
あなたは僕の夢を聞いてくれた
オールディーズが流れるドーナッツ店で
ダブルチョコを頬張りながら
「歌手になりたい」
身の程知らずなその言葉を
微笑みながら頷いてくれた
その瞬間にあなたの瞳に輝く光は
僕の心を捕まえた
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