歩道橋/セキラボ!
ているのを
直視しなかった
本当は 悔しかった
本当は 私が話したかった
神様 私にチャンスを下さい
何度も そう想った
ミドリは歩道橋の上で時々
ぼんやりと泣いた
頬が温かくて
温かくて
どうしようもなくて
泣けた
居場所はそこしかなかった
誰も邪魔をしない
誰も入り込んでこない
道路から弧を描いて
虹のように太陽に近い場所
雪の日も
描かれた場所
太陽が 雲間でゆらめいている
わたし だ あれは 多分
ゆらめいて 燃えて そこにある あれは
春風が吹く頃
この歩道橋からも桜が満開なのが見える
雪が解けて
自転車が行き交う
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