グレート・ノベンバー/長谷伸太
 
 「わたしは、もっと、ここにいたいのですガー・・・」
こんなことを言い出したのははじめてのことでした。
 「馬鹿いうなよ、夜になっちまうよ。夜は家に帰るもんなの。帰るぞ。オレ、腹減った
よ。
太郎君はノベンバーを引っ張るようにして家に帰りました。ノベンバーは本当に、秘密基地に残っていたいようでした。

 ノベンバーはどんどん大きくなりました。太郎君の身長も抜かしたし、太っちょになって、動きもどんどんゆっくりになりました。でも、顔はやっぱり幸せそうに笑っていました。ノベンバーがあんまりゆっくり歩くので、道を歩いているあいだ太郎君は誰かに見つかるんじゃないかとハラハラしました。秘密基地へ行
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