グレート・ノベンバー/長谷伸太
ものようにわらいながら、じいっと待っていました。
そんな風になってから、家で遊ぶ日が増えました。トランプのばば抜きや神経衰弱を覚えて遊びました。一緒に図鑑をながめている日もありました。
「な、これが花、フラワーだよ!いろんな色があるだろ」
「オー、ホー・ビューリホウ!本の中に、たくさんの窓がある・・・」
「窓じゃないよ、写真だよ。」
「ホホ、色がたくさん、ああ、春、花、素敵だなあ」
十二月十二日、ノベンバーは太郎君と同じくらいの大きさになっていました。押入れの中も、少しきゅうくつそうになっていました。その日も放課後秘密基地へ行きました。心なしか、ノベンバーの動きがゆっくり
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)