貴女のこと/クローバー
 
したチョコレートを
ステンレスのコップに注いで貴女に出し、宿を紹介した
それでも、貴女は「ここにいます」と言った
そして「あなたのことが知りたいわ」と言った
それが一番の理由だった、貴女がそれを決めたなら
誰が文句をつけるだろう?
貴女は、そのまま泊まっていった
無用心なのは、こっちもそうだし
別に、金をとろうなんて気もない
こんな日に追い出したら、それこそ近所の人が
何て言うかわからない「嵐に女を放り出すような、ひどい男だ」
「さすが余所者、血も涙もねえ」
影で聞こえるようにそういう人々の姿が目に浮かんだ。
余所者は、ボクも貴女も同じだったから、貴女が他の家に行っても
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