グレート・ノベンバー /長谷伸太
ました。たとえ捕まえられなくとも、その姿を何故か見てしまいたくなるものです。しかしススキを掻き分けた太郎君が見たものはまったく見たことの無いものでした。それは確かにイタチくらいの大きさでしたが、乳白色のいびつな形で、なんとなく手が二本足が日本はえており、饅頭のような頭には星型の目、豚の鼻、なんとなく笑った口がついていました。地べたに這いつくばってもぞもぞ動きながら「アー」とか「オヒョー」とか、そんなうめき声をあげているそいつを、太郎君は少しの間見つめ、そしてさっと拾い上げてランドセルに詰めました。
それから太郎君はそれからちょうど一ヶ月、誰にも、勿論親にも内緒で、十二月の二十三日まで一緒に暮ら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)