地蔵前/みつべえ
 
こともできなかった。
 襟巻きをして頭からすっぽりパンティをかぶったお地蔵さん・・・
 二人はとうとう堪えきれずに爆笑した。

 地蔵は鼻の下を伸ばしながらバスを見送った。にやけた表情をしたので顔全体のバランスが崩れてしまった。これに懲りて、あの娘は二度とこの町には来ないだろう。地蔵は満足そうに頷いた。木の陰から様子を窺っていた私の気配に気づくとは只者ではない。われわれにとっては危険な人間だ。何という名前だったか。そうだ、ユカリとかいっていたな。覚えておこう。
 白地に薄いピンクのストライプが入ったパンティ・・・

 午後になった。バスは定刻通りに往復を繰り返していたが、地蔵の前で乗
[次のページ]
戻る   Point(3)