「優しさ」についての論考/広川 孝治
 
は、弱さが優しさにうつるだけである。

現代の優しさの定義では、かかわらないこと、が優しさとみなされてしまう。確かにかかわらないことが長期的な福祉につながる場合もあり、それを踏まえて信念と洞察を持って、あえてかかわらないのは、優しさだと思う。

しかし、かかわらない理由が、かかわれない・かかわることを恐れている、ということなら、それは怠惰であり、優しさではなく弱さなのだ。

僕は自分が傷つきたくないゆえに、かかわることを、本能的に恐れてしまう。当り障りの無い発言と行動で、本質的にかかわることを拒否する。

それが優しさにうつるのが、現代故なのだろう。

実存主義が幅を利かせてい
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