「優しさ」についての論考/広川 孝治
 
ルトルの実存主義では、どの民族も、歴史的法則によれば、特定の方向に向かうべきであり。そこから離れている距離によって、進歩度が量られるという考えだったようだ。しかし、レヴィ・ストロースはそうではないことを論じ、見事に実存主義を葬ったらしい。

このことにより、物事に正誤をつけるということは、無意味であるという考えが広がったのではないだろうか。

かつての優しさには、バックボーンに、「真にその人のためになる」という考えがあった。それは歴史的法則、というものが存在し、正誤がつけられるという考え方に裏打ちされたものであるように感じる。

ところが、その法則が否定され。結局、生き残るのは可能性の
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