法事/腰抜け若鶏
 
家族からはだらしない息子。
その空間では俺は一地方の私立大学に通う大学生。
特別な才能だとか目立つ性格だとかほとんどかすんでしまって、
社会的地位である大学生。あの家の所の長兄さんに過ぎなくなる。

そう感じたときにふと思った。
その空間で、その価値基準に照らされたとき、俺はなんだ?恥ずかしい身分か?
幸い、大学に通ってるし社交辞令も難なくこなせる。
服装だって大分気を使うようになった。

でも俺は社長じゃない。俺は医者じゃない。一流大学にも通っていない。
馬鹿にされる要素もないが、羨望の眼差しもない。普通なんだ。
よくある人の一人。特別じゃない。

自分には特別な才能
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