観覧車が燃えてるように見えたのは夕陽のせいだった。/カンチェルスキス
日はサボる癖があった。注意すると、「アンジェリーナ・ジョリー」しか言わなくなる。完璧なる一点張りだ。アンジェリーナ・ジョリーって誰だよ。おれにはわからなかった。うまく髭を剃れるやつなのか、そうでないやつなのかすらわからなかった。原始的に手で拭いてみようかとも考えた。誰にも見られてないんだと自分に言い聞かせた。この世の中には誰にも見られてないからということを言い訳にして自分自身を許してることはたくさんある。やっちゃいなよ。でも、おれはやらなかった。三段式のトイレットペーパー棚がちゃんとあったのだ。そこからトイレットペーパーを一つ取り出し、片手にくるくると巻きつけて、でん部を拭いた。あいつがサボったと
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