観覧車が燃えてるように見えたのは夕陽のせいだった。/カンチェルスキス
たとしても、百九十万年ぐらいはかかるとおれには思えた。長崎に行くのは諦めた。それに長崎はいつも雨だ。おれは濡れるのが嫌いだ。濡れるのが嫌いだから、シャワーも浴びない。風呂も入らない。あんなものは浴びたつもり、入ったつもりでいればなくたって構わない類のもんだ。シーラカンスを釣り上げて写真におさまろうとしてる女ならどうか。あれは確かに両腕を伸ばしてると言えるんじゃないか。でもおれがいるのはショッピングセンターの時計台の下だ。どうしようもなく寒い。おれは虚ろになってきた。こんな構図世の中になかったらええのに、とおれは考えた。こんな構図なかったらおれもこんなに悩むことはなかったのに。『タイタニック』なんて
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