観覧車が燃えてるように見えたのは夕陽のせいだった。/カンチェルスキス
 
うしようか日も暮れてきた。自転車の後ろカゴにでっかいスイカを着の身着のまま載せて、婆あが蛇行運転を繰り返してた。寒くもあった。寒気団だ。風も強い。今日中にどうしてもあの構図を、デカダンスな構図をものにしたい。そうだ、長崎だ!とおれは閃いた。あのナントカ公園には銅像があって、確か両腕を伸ばしてなかったか?伸ばしてなかった。それに、あれはどう見ても男だ。その気はおれにはないし、確かあれはすげえでかかったような気がする。おれの身長があの銅像と同じぐらいになるには二百万年は待たなければならなかった。男性の平均寿命は七十歳ぐらいだと聞いてる。おれは現在、六十九歳。例えば、毎日ミルクと煮干しを欠かさなかったと
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